こんにちは!北九州モデルハウスのスタッフよりお届けします!
前回の第1回では、パッシブデザインの基本と北九州の気候に適した考え方について解説しました。
第2回となる今回は、「日射のコントロール」 に焦点を当て、より実践的な設計の工夫についてご紹介します。
1. 日射のコントロールは設計次第で効果が変わる
北九州は、
- 夏は強い日差しが室温を上げ、湿度も高く蒸し暑い
- 冬は風が冷たく、日射をうまく取り込まないと寒さを感じやすい
つまり、窓の配置・大きさ・遮蔽物の有無で、家の快適性が大きく変わります。
「なんとなく南向きの窓が良い」「庇をつければOK」ではなく、
どの窓でどのくらい日射をコントロールするのか?をしっかり考えることが大切です。
2. 夏の暑さを防ぐ「日射遮蔽」の実践テクニック
①効果的な庇・軒の設計(数字で見る最適な長さ)
庇や軒は「適当に長くすればいい」わけではなく、夏と冬の日射角度に合わせた設計が大切 です。
- 北九州の夏至(6月)の日射角度は約78°、冬至(12月)は約30°
- 庇の長さは50~80cmが理想的 → 長すぎると冬の日射取得を妨げ、短すぎると夏の日射を遮れない。
- 1階と2階で適切な庇の長さが異なる(2階の方が短めでOK)
② 外付けシェードやルーバーを活用
庇だけではカバーしきれない場合は、外付けシェードやルーバーを使うとより効果的 です。
- 電動シェード → 太陽の位置に合わせて開閉できる。
- 可動式ルーバー → 角度を調整でき、デザイン性も向上。
- 緑のカーテン(ゴーヤやアサガオ) → 自然の力で日射を遮り、見た目も涼しげ。
③ 窓ガラスの選び方
窓ガラスの種類によっても、日射の影響を大きく変えられます。
- Low-Eガラス(遮熱タイプ) → 夏の熱を反射し、冬は室内の熱を逃がさない。
- 日射取得型ガラス(冬用) → 冬は太陽熱を取り込みやすいタイプもある。
3.冬の寒さを防ぐ「日射取得」の実践テクニック
冬は いかに日射を取り込み、熱を逃がさないか がポイント。
① 窓の配置と高さを考慮する
- 南向きの窓を大きくとる(リビングなど) → 冬の日射を最大限活用。
- 吹き抜けを利用して、奥の部屋まで光を届ける。
- 高窓を設けて、室内の奥まで日光を入れる工夫。
② 蓄熱できる素材を活用する
せっかく取り込んだ日射熱を、室内に長く留める工夫 も重要です。
- 床に蓄熱性のあるタイルやコンクリートを使用 → 昼間に吸収した熱を夜間放出。
- 壁の一部に漆喰や珪藻土を使い、調湿と蓄熱を両立。
- 暖房と併用することで、省エネかつ快適な住環境に。
③ 窓の断熱性を高める
- 断熱カーテンやハニカムスクリーンを活用 → 窓際の冷気をカット。
- 窓枠の気密性を向上させ、隙間風を防ぐ。
- ペアガラス・トリプルガラスを採用し、断熱性能を強化。
4. まとめ|パッシブデザインの設計は「日射コントロール」が鍵
- 夏は「日射を遮る」設計で涼しく快適に。庇やシェード、遮熱ガラスを活用する。
- 冬は「日射を取り込む」設計で暖かさを確保。窓の配置や蓄熱素材がポイント。
適切な設計をすることで、冷暖房に頼らず、一年を通して快適な住まいを実現できます。
次回の第3回では、「風の流れを活かした通風設計」について解説します。
パッシブデザインに興味がある方は、お気軽にご相談ください!